平成11年 度技術勉強会論文

 
 

「県内企業のECの現状と今後の動向について」

 

 

 

 

 

 
EC部会

 

 

 













EC部会メンバー紹介

部会長 時永 一生 (株式会社富士通大分ソフトウェアラボラトリ システムインテグレーション部)

副会長 石井 尊成 (株式会社オーイーシー オープン営業部 ネットワークシステム課)

    荒金 博  (大分交通株式会社 企画開発部)

    亀井 進一 (三井造船システム技研株式会社 九州事業所 開発部)

    藤原 剛  (太平工業株式会社大分支店 電気計装部 制御システム課)

 

 

 

はじめに

インターネットの普及に伴い日本でもECの普及がより現実的なものとなってきました。

さらにこの不況の中、ECは電話とパソコンを用意し、インターネットに接続するだけという少ないコストで、場所と時間を超越してビジネスを行う事が出来る新しいビジネスチャンスとして、大変注目されています。

当部会ではECの現状、将来について調査、討議を行いその成果を本報告書としてまとめました。

なお、本報告書作成にあたり、大分県情報サービス産業協会会員各社をはじめ、アンケートに御協力を頂きました県内企業の皆様に厚くお礼申し上げます。

本報告書を今後の協会の活動資料として、県内企業の皆様には今後の経営における参考資料として頂ければ幸いです。

 
 

目次

1、ECとは何か

  1−1 ECの定義

  1−2 今回のターゲット

  1−3 EC導入によるメリット/デメリット

  1−4 ECの取引の流れ

2、ECへの取り組み状況

  2−1 全体

  2−2 大分県

3、ECの将来

  3−1 国内におけるECの普及予測

  3−2 国外におけるECの普及予測

  3−3 ECが普及する為には

  3−4 ECが普及することによる社会構造の変化

4、最近の動向

  4−1 既存店舗を利用したEC(企業VS個人)取引

5、おわりに

参考資料1(電子商取引についてのアンケート)

参考資料2(電子商取引についてのアンケート結果)

 

 

1、ECとは何か

 1−1 ECの定義
    当部会ではまず「ECとは?」について調査を行いました。

 ECは“Electronic Commerce”の略で日本語では電子商取引と訳されています。さらに詳しく調べると以下のように定義されていることが判りました。 「ECとは」 ECとは広義ではコンピューター間で広く開かれた電子データによる情報交換のことである。
さらに詳しく分類すると以下の体系図の様になります。(図1)
*1書籍によってはWed−EDIがECでEDIはECに含まないと定義しているものもありますが、今回は電子商取引の1形態としてECに含むこととします。また企業VS企業のECは(Business  To Business)のECと呼ばれています。
*2企業VS個人のECは(Business  To  Consumer)のECと呼ばれています。
 
   
 1−2 今回のターゲット

    現在、誰でも手軽にインターネットに接続することが出来、電子メールの利用や、ホームページの開設が出来る様になり   ました。これにより、インターネットは企業の情報発信の重要なアイテムとなり、個人も情報を受け取るだけでなく気軽に   発信することが出来るようになりました。このような時代の流れを受けてか最近、企業VS企業のEC、企業VS個人のECを   よく耳にするようになりました。また、ECを手軽に実現するための商品の発売が相次いでいます。
    当部会では、今後いままで以上の速さで浸透していくと思われる企業VS企業のECと企業VS個人のECの二つを取り上げ   て討議、検討を行うこととしました。

   1−3 EC導入によるメリット/デメリット (1)メリット EC導入により以下のようなメリットが有ります。(販:販売側、購:購入側)
1)顧客との直接性(コスト削減、顧客満足度向上)
  中間業者を介さずに最終顧客と直接取引出来るので流通コストを削減可能(販)。その分安く買える(購)。
2)市場の全世界への開放性(市場拡大、コスト削減、顧客満足度向上)
  世界中の誰とでも取引可能なので顧客数が増える(販)。世界中で一番条件の良い所と取引が可能(販、購)
3)時間の無制約性(市場拡大、顧客満足度向上)
  365日、24時間取引が可能なので顧客数が増える(販)。いつでも購入可能なので便利である(購)。
4)情報のリアルタイム性(市場拡大、顧客満足度向上)
  情報をリアルタイムに全ての場所、人に伝えられるので商機を逃さない(販)。地域格差による情報の遅れが無  くなる(購)。
5)カスタマイズ化(コスト削減、顧客満足度向上)
  ホームページのプログラムと顧客データを使った無人での顧客毎の最適な取引が可能(販)。機械相手なので気  軽に商談出来る(購)。
6)大容量性に優れている(市場拡大、顧客満足度向上)
  商品情報量の充実が可能(販)、多く選択肢から選べる(簡単検索可能)(購)。
7)コミュニティに優れている(市場拡大、顧客の満足度向上)
  eメール等の利用で顧客と意見交換し易い。(販、購)
8)少ない投資額(コスト削減)
  少ない投資で開始、維持が可能(無店舗営業)(販)


    このようにECは販売側、購入側双方に多くのメリットをもたらします。
 
(2)デメリット(問題点)

ECのデメリットについては、
1)情報の漏洩、
2)消費者保護、
3)取引ルールが未確立 
が考えられます。

 情報の漏洩は今の暗号化技術でほぼ防ぐことが出来ます。しかしハッカー等に対抗するために常に最新の技術導入が不可欠です。消費者保護と取引ルールが未確立はEcom(電子商取引実証推進協議会)による施策の検討や、政府間による検討(OECD(経済協力開発機構)、WTO(世界貿易機関)、APEC(アジア太平洋経済協力会議))が行われています。このような活動により、近い将来解決されるでしょう。また自らが率先してECに取り組み、消費者保護、取引のルールを決めていくのもデメリット回避の一策ではないでしょうか。
このようにECのデメリットは近い将来全て解決されるでしょう。

 ECはメリットが非常に多く魅力あるものです。その魅力はデメリットを計算にいれても計り知れないものがあります。そのデメリットも自らの努力で回避することが出来るのでデメリットとは言えないかもしれません。
 
 
 

 1−4 ECの取引の流れ  
(1)企業VS企業 企業VS企業の取引の例を示します。(図2)
1)購入側企業は販売側企業に商品を注文をします。(販売側企業へ注文情報を送信)
2)注文を受けた販売側企業は受注処理を行い、製造部門に生産指示を出します。(注文情報の受信)
3)販売側企業は流通部門から出荷の連絡を受けて出荷処理を行い、購入側企業へ出荷済みの連絡をします。(出荷  情報の送信)。
4)購入側企業は販売側企業より出荷済みの連絡を受けます。(出荷情報の受信)
5)購入側企業は商品到着後、販売側企業に納品受付の連絡をします。(入荷情報の送信)
6)販売側企業は商品が購入側企業に到着したので、購入側企業に検収依頼を行います。(入荷情報の受信と納品情  報の送信)
7)購入側企業は検収依頼を受けて検収処理を行います。(納品情報の受信と検収情報の送信)
8)販売側企業は商品が検収されたので売り上げ処理を行い、購入側企業へ代金の請求を行います。(検収情報の受  信と請求情報の送信)
9)購入側企業は電子マネー等で支払いを行います。(ここでは銀行を介さず直接企業間で電子決済を行う例を示し  ます。)

 

(2)企業VS個人

 企業VS個人のECは次の4つの要素から構成されています。
 1)ブラウザ
  ホームページを表示し、消費者に商店システムとの対話手段を提供します。
 2)ショッピングモール
  ネット上の商店街で、消費者と複数の商店システムの接続を手助けします。
 3)商店システム
  商店システムはホームページを通じて商品情報や消費者からの注文受付、購買処理を行います。
 4)バンキングシステム
  消費者、商店が取引を行っている金融機関からなり、取引の確認、支払いの認証を行い、消費者から商店への支払    いをサポートします。

 電子クレジットカードを使った時の取引の流れを示します。(図3)
 1)消費者はショッピングモールへアクセスし、商店を選びます。
 2)ショッピングモールは商店システムへリンクします。
 3)商店システムは消費者へホームページで商品情報を提供します。
 4)消費者は商品を選び、電子クレジットカードで支払いを行います。
 5)商店は電子クレジットカードを発行したカード会社に問い合わせを行い、消費者から支払いを受ける権利(与信)    を得ます。*
 6)商店システムは消費者に支払いが確認出来た事を連絡します。
 7)商店は商品を消費者に発送します。
 8)商店は商店と取引をしている銀行に売り掛けを計上し、売上票を送ります。*
 9)商店と取引している銀行はカード会社に売上票を送り支払いを得ます。*
10)カード会社は消費者に代金の引き落としを通知します。*
11)カード会社は消費者の銀行口座から代金を引き落とします。*
 *が文末についている処理がバンキングシステムで行われる処理です。


 
 

 取引の流れは企業VS企業、企業VS個人のどちらのECも現状の取引の流れとほとんど変わらないことが判ります。大きく異なるのは情報が全てデジタルデータで、ほとんどの処理において人の手を介さずに取引が進んでいくことです。

   また企業VS企業のEC取引の例において決済部分で企業VS個人のEC取引のようにバンキングシステムが出てきませんが、これも現状の取引の流れと大きく異なる部分です。銀行からの為替手数料を省く為に、取引先企業同士をネットワーク化して債権と債務データを相殺するのです。(これをネッティングと言います。)もちろんこれまでのようにバンキングシステムを介して電子決済を行う企業もあります。  

2、ECへの取り組み状況

 2−1 全体

 1998年の実績をみると日本は企業VS企業において取引額で9兆円、商取引全体における1.5%がECで行われています。企業VS個人は650億円、0.02%となっています。

 またアメリカでは企業VS企業において取引額で20兆円、商取引全体における2.5%がECで行われています。企業VS個人は2兆5500億円、0.4%となっており、日本はアメリカに3年遅れていると言われています。

 次に取り組み事例を紹介します。(表1)
(表1)ECの取り組み事例

取組事例
ECの種類
売り上げ金額
トピックス
事務用品販売
企業VS企業
1億6800万円
登録事業所1万8000件
パソコン周辺機器

販売

企業VS企業
77億ドル
全体売り上げの90%

日本でのECを使った

注文率80%

ビール製造販売
企業VS企業
生産から店頭までを10日から4日に短縮
運送業
企業VS企業
荷物の追跡情報のオンライン提供
旅行関連商品販売
企業VS個人
1億6000万円
リピータ率30%
証券販売
企業VS個人
5億円
全体売り上げの20%
書籍販売
企業VS個人
10億円
会員数7万5000人
パソコン販売
企業VS個人
日商1400万ドル
個人販売の50%
 商品販売だけで無く、商品の納入期間短縮や荷物追跡といったサービス向上にもECが利用されているのが判ります。

 商用ではありませんがアメリカのボストン市では税金や罰金をECを使って納付することが出来、1ヶ月あたり罰金納付が1000件、消費税納付が6000件あるそうです。
(ボストン市民57万5000人、市内へ通勤する人50万人が利用対象です。)
 

 2−2 大分県  大分県ではどのくらい浸透しているのでしょうか。
 96年の高額所得法人1位から200位の企業のうち所在地等が確認出来た企業と大分県情報サービス産業協会会員企業(合計218社)にECについてのアンケートを送付し回答を頂きました。(アンケート内容と結果は参考資料として本論文末に添付しています。)

 有効回答数は54社 (約25%の回答率)
 うちEC実施企業は9社(17%)
   EC未実施は45社(83%)でした。

(1)全体の回答から
  全体への設問「ECを知っていますか?」への回答は“よく知っている”と“知っている”を加えると約8割とほとん どの企業がECを知っていることがわかります。(図1)

    設問「ECに興味があるか」については約7割が興味があると回答しており、ECの実施、未実施に関係なくECが大 分の企業にも注目されているのがわかります。(図2)


(2)EC実施企業からの回答内容

    設問「ECを導入した時期」は10年以上と回答した企業はなく、5年未満が60%を占めておりどの企業も導入後間 もないことが判ります。(図3)
  設問「ECで使用しているインフラは?」の回答はインターネットが一番多く60%を占めており、最近導入した企業 の中にはインターネットの普及が導入を後押ししたと考えられます。(図4)   設問「ECでのの取引先は?」の回答は“特定企業との取引”が30%、 “不特定の顧客との取引”が30%と同じ比 率になっています。(図5)
 
 

3、ECの将来

 3−1 国内におけるECの普及予測

 国内におけるECでの取引額、取引比率は図1〜4(通商産業省の資料より引用)のように推移すると予測されています。1998年と1999年(見込)の取引額を比較すると、企業VS企業(図1)は約3割増、企業VS個人(図2)にいたっては約3倍の伸びとなっています。
 同じく、取引全体におけるECの比率の伸び率は企業VS企業(図3)が約5割増、企業VS個人(図4)が3倍と取引額と同じく非常に高い伸びとなっています。
 2000年以降についても高い伸びが予測されており1998年と2003年では企業VS企業が取引額、取引率(図1、図3)ともに7倍、企業VS個人(図2、図4)が取引額、取引率ともに約49倍の伸びと非常に高い伸びが予想されています。
 2−1の事例で上げた事務用品販売(企業VS企業)では売上1000万円(98年1月)が1億6800万円(98年12月)と1年で爆発的に伸びていています。
 3−2 国外におけるECの普及予測  アメリカの例では、取引額、取引率は図1〜4のように推移すると予測されています。1999年以降も取引額、取引率共に日本同様に高い伸び率が予想されています。1998年の取引率で日本とアメリカを比較してみると、アメリカは日本の20倍となっており、日本と比較してECの導入が非常に進んでいることがわかります。

 大分県内企業へのアンケートでも同じような結果が得られました。但し、今後1〜2年間は特定の分野に限られるのではという意見が大半をしめています(図5)。今後10年後にいたっては今の通信販売に取って代わるという意見が大半をしめています。(図6)
 


 
 
 

 3−3 ECが普及する為には 今後ECが非常に高い伸び率で普及していくために必要な条件として以下のものが考えられます。   (1)インフラの整備と意識改革
 後述の3−4で詳しく述べますが、ECが普及すると社会構造が大きく変わると予想されています。将来はECにむく業種、むかない業種といった区切りがなくなり全ての企業がECを導入しなければ生き残れません。企業は早急にECの導入(検討)、インフラの整備を行う必要があると思われます。しかし、ECを導入しても取引相手がいないとどうしようもありません。企業VS企業のECに取り組むのであれば1社単独ではなく企業の枠を越えた、各業界単位での取り組み(例:電子書類の書式統一)、また業界の枠を越えたもっと大きな集まりでの取り組み(例:電子手形や電子マネーの導入等)が必要です。
 私たち情報サービス産業協会は情報サービス産業の枠の中ではありますが、同業、異業種間交流を行い、最新の技術を習得する為に勉強会等を行っています。このような取り込みが、今後のEC普及の礎となるのは間違いありませんし、今後は必ず必要となってくるでしょう。    また企業VS個人のECであれば各個人がパソコンを持つといったインフラの整備への協力、後押し(例:安価なハードの提供やECでしか得られない高い付加価値付き商品の販売、魅力あるショッピングモールの構築等)が不可欠です。   (2)セキュリティ  安全が保証されなければ経済活動は成り立ちません。これはECに限ったことではなく全ての取引にいえることです。偽札や偽の契約書等が横行すれば経済は麻痺してしまいます。ECで言えば電子マネーの安全性、電子書類(契約書等)の正当性です。
 ハッカーやウィルスの事を考えると100%完全な安全を得るとういう事は非常に難しいと思われます。ハッカー等とのイタチごっこが繰り返されるでしょから、最新の技術が一番安全です。このことからECを行う企業及び個人は常に最新の技術動向に目を向けている必要があります。また企業VS個人のECを行う企業は取引先となる個人に対して常に最新のウィルス情報提供等のサポートを行うことが自らの身を守ることに繋がるでしょう。

  県内企業へのアンケート結果を見てみると、県内の企業で現在ECを未実施の企業は、今後もECを実施する予定が無いが72%(図7)、「なぜECを行わないのか」の回答として「必要性を感じない」が25%、「社内の体制が整っていない」が27%と半数を占めています。(図8)上記(1)インフラの整備・・の中でも述べていますが、大半の県内企業が今後生き残っていくためには早急な意識改革が必要と思われます。その為には常に最新の動向、技術にアンテナをはり、それらを積極的に取り込む決断と行動力、そして情報発信、情報交換の場となる集まり(同業種、業種を越えた、)の設立、参加が不可欠です。
 「なぜECを行わないのか」の回答としては上記以外に「セキュリティが不安」7%、といった回答が出ています(図8)。さらにECを行っている企業の取引内容(図9)を見てみると大半が一部の取引しか行っていません。これはECのセキュリティへの不安の為ではないでしょうか。
 「ECに対する意見を述べて下さい」という自由回答の問いに対してもインフラの普及、セキュリティの確保が不可欠との意見が大半をしめており、県内企業もECの普及の為にはインフラの整備とセキュリティの確保が不可欠だと考えているようです。

 

 

 3−4 ECが普及することによる社会構造の変化  ECが普及することは企業VS企業の取引において、ただ紙の書類が無くなる、電子決済により紙の伝票が無くなるだけにとどまりません。今注目されているのが「MRO(Maintenance,Repair Operations)」と呼ばれる企業の保守管理物資やサービスを提供する事業です。例をあげると、「企業の社員が自分の必要な事務用品などをインターネットを通じて直接注文すれば、MROの会社が注文した人の机まで届けてくれる。」というようなことです。当然電子書類、電子マネーによる取引ですから自動的に商品の出荷、入荷処理、経理処理が人の手を煩わす事無く行われなす。そうすると総務部の事務用品調達という業務がなくなる、つまりアウトソーングされるということです。これは総務部の業務に限ったことでなくその他の部門もアウトソーングされる可能性があります。
 また企業VS企業の取引においてECを使えば情報の入手は世界中どこにいても同じ量、同じスピード、質になります。これによりもっとも効率の良い所(値段、場所)から仕入れ、同じように製造することが出来るようになるので地域を越えた、国を越えた取引が普通になるでしょう。
 企業VS個人に関しても大きな変化が予想されます。消費者は自宅で商品をインターネットを使って購入するわけですから、極端な話、小売店はいらなくなります。問屋もいらなくなります。そうすると物流も変わってきます。製造から問屋へ、そして小売りへといった物流が無くなり、製造から個人への宅配が急増すると予想されます。企業の業務的な考えかたをすると個人の小売店へ買いにいくという業務をEC、そして宅配にアウトソーングするということになります。
 このようにECが普及すれば社会構造、企業の内部構造が大きく変わることが予想されます。この変化により企業、個人からアウトソーングされた事業を引き受ける企業が必要な訳ですから新たなビジネスチャンスが生まれることも予想されます。しかし、小売り業や問屋業はどうやって生き残っていくかという問題も出てきます。
 
 

4、最近の動向

 4−1 既存店舗を利用したEC(企業VS個人)取引

    最近はEC(企業VS個人)への取り組みが活発になってきました。

 既存店舗を利用する方法が中心です。多くの企業がコンビニエンスストア(以下コンビニ)を商品引き渡しと決済の場として利用しています。例えば書籍をECで販売している企業があります。この企業はインターネットを使って注文を受け、顧客の指定するコンビニ店舗に商品を送ります。顧客は自分が指定した店舗に都合の良い時間に出向いて受け取り、その場で支払いを行う方法です。コンビニでなくガソリンスタンドを利用する企業もあります。店舗で商品と引き替えに代金支払いを行うのでセキュリティの不安がありません。セキュリティの不安が解消されるまではこの方法がEC(企業VS個人)の取引の中心になるでしょう。また、コンビニの流通網と店舗数の多さ、24時間営業といった利便性は、在宅で決まった時間の範囲でしか受け取れない通常の宅配を利用した場合と比べて非常に魅力的です。
 注文する端末をコンビニに設置している企業があります。また金融機関はコンビニに現金自動預入払出機(ATM)の設置を行っています。これらが将来、一つにまとまれば注文から決済までをコンビニの端末で行うことが出来るようになるでしょう。近々電子マネーの実験が始まりますが、本格的に普及するまでは自宅でのECよりも自らコンビニ等に出向いて行うECが主流になるでしょう。
 
 

 

5、おわりに  日本のECはまだ始まったばかりです。大分県内についても同様です。しかし、のんびり構えていてはいけません。今後の急速なECの普及に遅れをとるわけにはいかないのです。ECがもたらす社会構造の変化は非常に大きいですからECへの取り組みの遅れが企業の将来を左右するといっても過言ではありません。将来の大きな社会変化を乗り切るためにもECへの早期取り組みが必要です。本論文がECへの取り組みへの糸口となればと思います。

 大分県内企業の皆様がこの社会変化の波にのまれることなくECを有効に活用しさらに発展されることを当部会員一同願っております。

 







 
 

各位

平成11年11月1日

大分県情報サービス産業協会

技術委員会 EC部会

部会長 時永 一生

電子商取引に関するアンケート(ご依頼)

 

 

 時下ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。
 さて、当部会は大分県ソフトウェア協会の技術委員会に属し、会員各社が抱える共通の技術的問題や課題について共同研究を行っております。
 当部会の本年度の研究テーマは「県内企業の電子商取引の現状と今後の動向について」となっております。近年のインターネット等の普及により、コンピュータネットワークを用いて、商取引、決済等の経済活動を行うエレクトロニック・コマース(電子商取引・EC) 実現の可能性が大きくなっています。EC導入は、企業と消費者、企業(部門)間のあらゆる局面における電子情報技術の導入を意味しており、従来の産業構造や経済構造を大きく変革し、様々な産業分野の生産性・効率性の向上を実現するとともに、 新たな市場の創出をもたらします。しかしながら、電子商取引の実現に必要不可欠な安全性の確立、共通フォーマットの確立、法的整備への取り組みが十分に行われておらず実際には電子商取引の業務への導入が困難であるのが現状です。
 そこで大分県における電子商取引の現状について調査を行う事となりました。
 つきましては、お忙しい中、申し訳ございませんが、添付のアンケート用紙にご回答頂けますよう宜しくお願い致します。
 なお、ご回答は統計データとしてのみ利用し、個別の内容を公開する事は一切ございません。

 

 

 〜ご記入に当たって〜 

[EC(電子商取引)の定義について]

本調査での電子商取引とは、パソコン通信やインターネットなどの情報通信を利用して商品やサービスの情報の提供、売買の契約・販売の予約、決済のいずれかを行うものを指します。

以上
 技術委員会事務局 宛        電子商取引についてのアンケート1/3

●まず全員の方へお伺いいたします。

[1]貴社の現状について

1-1貴社の業種をお伺いいたします。

a.農林水産業  b.建設業  c.製造業  d.流通業  e.金融・証券・保険業  f.運輸・通信・倉庫・不動産

g.電力・ガス事業  h.広告・調査  i.サービス業  j.その他

1-2貴社の従業員をお伺いいたします。

a.50人未満  b.100人未満  c.200人未満  d.300人未満

e.400人未満  f.500人未満  g.500人以上

[2]電子商取引について

2-1電子商取引についてご存知ですか?

a.よく知っている  b.知っている  c.言葉だけは聞いたことがある  d.知らない

2-2電子商取引に興味をもたれていますか?

a.非常に興味がある  b.興味がある  c.あまり興味が無い  d.興味が無い

2-3実際に電子商取引を行っていますか?

a.行っていない  b.行っている

[3]インターネットについて

3-1貴社では、インターネットをどのように利用しておられますか?

また、将来的に、インターネットをどのように利用したいと考えておられますか?

次のうち該当するものの記号(複数可)をご記入ください。

 現 在(                    )

 将 来(                    )

a.ホームページによる情報発信に利用  b.www等での情報収集に利用

c.電子メール等により、取引先等との連絡に利用  d.取引先等とのデータ交換に利用

e.一般消費者等からの注文の受付けに利用  f.電子決済に利用  

g.その他(                                 )

h.利用せず

技術委員会事務局 宛        電子商取引についてのアンケート2/3

●電子商取引を行っていると回答された方へお伺いいたします。

[4]電子商取引の実施について

4-1電子商取引の実施開始時期についてお答え下さい。

a.10年以上前  b.10年未満〜5年以上前  c.5年未満〜3以上年前

d.3年未満〜1以上年前  e.1年未満〜半年以上前  f.半年未満〜現在

4-2電子商取引の利用メディアについてお答え下さい。

a.商用パソコン通信  b.インターネット  c.専用ネットワーク  d.フロッピーディスク等

e.その他( )

4-3どのような形態の電子商取引を利用していますか?

a.本社・支店間等の社内決済  b.特定の企業との取引  c.不特定の顧客との取引

4-4電子商取引を取り入れたのはどのような目的からですか?

a.決済の迅速化  b.顧客の要望により  c.試験的・実験的

d.その他( )

4-5電子商取引の実施内容についてお答えください。

a.決済以外の取引全て(発注・請求等)  b.決済以外の取引の一部(発注・請求等)

c.決済まで全てを電子取引で行っている  d.その他(                          )

4-6取引先の認証はどのように行っていますか?

○初回

a.登記簿謄本  b.信用調査機関の情報  c.届出印及び申込書  d.調査表等  e.面談  f.行っていない

g.その他( )

○2回目以降

a.パスワード・暗証番号  b.IPアドレス  c.専用線  d.行っていない

e.その他( )

4-7電子商取引での、トラブルについてお答えください。

(1)トラブル防止のために行っていることをお答え下さい。

a.対策は特にしていない  b.電話・電子メールなどで確認を取っている c.契約内容を書面で交付している  

d.取引額を制限[    ]円までとしている e.その他( )

(2)実際におきたトラブルがあればお答えください。(○印はいくつでも)

a.トラブルは、特にない  b.決済に関するトラブル  c.契約に関するトラブル

d.商品引き渡しのトラブル  e.商品自体に関するトラブル  f.返品についてのトラブル

g.その他( )

4-8電子商取引の問題点をお答えください。

a.問題点は特にない  b.情報通信基盤に関する問題  c.自社の人的資源に関する問題

d.法的な整備の問題  e.公的規制の問題  f.物流の問題  g.顧客対応の問題  h.決済手段の問題

i.海外との取引(貿易)上の問題   j.その他( )

技術委員会事務局 宛        電子商取引についてのアンケート3/3

●電子商取引を行っていないと回答された方へお伺いいたします。

[5]電子商取引の現状について

5-1現在の状況をお答え下さい。

a.かつては実施していたが、現在は中止している  b.現在は実施していないが、計画中である

c.実施していないし、計画もない  d.関連会社・子会社が実施している

e.その他( )

5-2電子商取引を利用しない理由をお答えください。

a.社内の体制が整っていない  b.セキュリティ面で不安を感じる  c.必要性を感じない

d.法的整備がなされていない  e.信頼性が低い 

f.その他( )

●最後に全ての方にお伺いいたします。

[6]電子商取引の将来について

6-1ここ1〜2年位はどうなると思いますか?

a.一過性のブームであり、ほとんど普及しない  b.ある程度普及するが特定の分野に限られる

c.現在の通信販売に代わる無店舗販売の中心になる  d.現在の通信販売を質・量とも大きく超えて普及する

e.その他( )

6-2それでは、現在から10年後位は、どうなると思いますか?

a.ほとんど普及していない  b.ある程度普及するが特定の分野に限られる

c.現在の通信販売に代わる無店舗販売の中心になる  d.現在の通信販売を質・量とも大きく超えて普及する

e.有店舗販売に大きく影響を与えるほど普及する

f. その他( )

[7]電子商取引についてのご意見をお聞かせください

差し障りが無ければ貴社名等もご記入願います。

貴社名:

御住所:

御電話番号:

FAX番号:                         

御回答者役職:                        

御芳名:                           

E-mail:                           

ご協力ありがとうございました。
 
 








電子商取引についてのアンケート結果(%)

*回答方法に沿って回答されていないものは未回答としました。

[1]1−1
 
未回答
13
17
15
36

[1]1−2
 
未回
27
19
13
13
15

[2]2−1
 
未回答
13
66
17

[2]2−2
 
未回答
13
53
28

[2]2−3
 
未回答
81
19

[3]3−1 現在
 
未回答
22
28
25
12

[3]3−1 将来
 
未回答
19
15
18
15
12
10

g.その他への回答(抜粋)

一般からのQ&Aに利用。 教育に活用。 インターネットによる入札。

[4]4−1
 
未回答
20
20
20
20
20

[4]4−2
 
未回答
10
60
10
20

[4]4−3
 
未回答
30
30
40

 

[4]4−4
 
未回答
10
30
20
40

[4]4−5
 
未回答
60
10
10
20

d.その他への回答(抜粋)

インターネットバンキング。

[4]4−6 初回
 
未回答
10
30
30
30

g.その他への回答(抜粋)

会員登録。電話確認。

[4]4−6 2回目以降
 
未回答
30
10
10
10
40

g.その他への回答(抜粋)

初回と同じ扱い。

[4]4−7 (1)
 
未回答
30
10
10
20
30

e.その他への回答(抜粋)

電話で確認後、着払いで決済。

[4]4−7 (2)
 
未回答
60
10
30

[4]4−8
 
未回答
10
10
80

[5]5−1
 
未回答
14
72

[5]5−2
 
未回答
27
25
39

 

 

[6]6−1
 
未回答
56
20
13

e.その他への回答(抜粋)

免許制度と関係するものと思われる。

[6]6−2
 
未回答
22
11
39
15
13

[7]への回答(抜粋)

・一般に流通するまでの準備が整っていない。
・インターネットがまだまだ普及しきれていない。
・実商品を見てからでないと不安だ。
・だまされないか不安だ。
・電子決済は悪用されると思うので今後も行わない。
・法的整備、セキュリティ面で長く時間のかかる問題があり短期間では普及しないが、近い将来大きな“キーファクタ”となると 思う。
・インフラ整備が進めば拡大していくと思う。
・セキュリティ、信用性、情報漏洩がクリアされなければ限界がある。
・パソコンのテレビ並の普及が前提。
・無店舗によるコスト削減。